美味しい豚肉を作る秘訣。それは全て、当たり前のようでいて難しいことです。
まずはストレスを与えない伸びやかな環境。常に清潔に保たれた豚舎。
豚肉の品種選び。飼料の配合の仕方。豚たちへの絶え間ない配慮。
そして、愛情。どれもが難しいことです。
でも、蔵尾ポークを作るには、どれ一つ欠けてもいけません。
近江は鈴鹿山系のふもとにある自然豊かな日野。常に清潔に保たれた豚舎
藏尾ポークの豚たちはのびのびと育っています。
藏尾ポークの名が一躍有名になったのは、一つのテレビ取材がきっかけでした。大変清潔な豚舎、自然豊かな環境、そして霜降りが入っているとても珍しい豚肉として紹介されたのです。
皆さんは、滋賀県にある日野町という小さな町をご存知ですか?山々に囲まれ、まだまだ昔ながらのたたずまいが多く残る田舎町です。春にはうぐいすの声が辺り一帯に響き渡り、夏にはまるで太陽がすぐ近くにあるのではないかと思うほどの暑さになりますが、爽やかな風が吹き抜ける時には藍色を思わせます。秋には赤や黄色の木々が季節の変化を感じさせてくれ、冬は真っ白な銀世界一色に思わずため息が出るほどの美しさを湛えます。
そんな日野町の片隅に、蔵尾ポークの豚農場はあります。
この自然の豊かな土地で、藏尾ポークの豚たちは、毎日伸び伸びと育っています。
美味しい豚を育てる基本は、まず環境。空気や水のできるだけきれいな、自然の豊かな土地で、ストレスを与えずに育てる事です。
そしてさらに大切なのは、常に豚舎を清潔に保つ事。健康で元気に育てていくためには、暖かく清潔な場所で、キメ細やかな配慮を怠らない事、それが第一条件です。
美しく、甘いサシを生み出すのは独自配合の飼料。人間が食べても
旨いと思えるような餌だけを与えています。
別名「バームクーヘン豚」とも呼ばれている藏尾ポーク。
藏尾ポークの名を一躍有名にしたのは、バームクーヘンをその餌にしている、ということでした。
美味しい豚肉を作るには、どんな餌を、どの時期に与えるかということが要になってきます。藏尾ポークではバームクーヘンなどの小麦を中心とした食材を、独自に配合し、飼料として使用しています。豚肉作りは、この飼料の配合をどのようにするかの研究だと言ってもいいかもしれません。それくらいに難しく、また、豚肉の質を左右するものになり得るのです。
豚は想像以上に繊細で、デリケートな生き物です。
室温も絶対に寒くてはだめ。暖かすぎてもだめ。常に適温でなければなりません。ストレスを受けやすい動物だからこそ、できるだけ穏やかに、快適に過ごせるよう、常に気を配っています。
また常に一頭一頭に目を配り、豚の体調がいいかどうかに気を配るようにしています。豚にストレスを与えない一番の秘訣。それは、当たり前の事のようですが、常に豚の様子に気を配っておくという事です。
そして、同じく大切な事は豚の品種選び。私達の養豚場では、私達が配合する餌に最もあった豚、また霜降りの入りやすい豚を厳選しています。
近江の自然に宿る神々の力を借りながら、私達はこの豚たちを
育てさせていただいているんです。
養豚業が大変な仕事であることは間違いありません。毎日、早朝から夕方の6時まで、何千頭もいる全ての豚の様子を見て周り、元気にしているかどうか確かめ、えさやりに、掃除に・・・休まる時はありません。生き物が相手ですから、いつまでも仕事が終る事はありません。
でも、豚たちがみんな元気に育っていくのを見るたびに、疲れはふっとび、「この仕事をさせてもらえて嬉しい!」と思えてしまうのです。
私があまりにも愛情を込めて豚を育てている様子が、周りの人たちには少し不思議に映ることもあるようで、「いずれはお肉にするために育てているんでしょう?愛情を込めて育てるなんて、なんだか矛盾しているみたい・・・」と言われることもあります。でも、だからこそいかにより多くの人たちに「なんておいしい豚肉なんだろう!」と言ってもらえるように育てていきたい、なんてきれいな色のお肉なのかとほめてもらいたい、それが大切な生命を活かすことではないかと思うのです。あなたたちをこんなにいろんな人が褒め称えて、喜んでくれているんだよと豚たちに伝えたいのです。
そして食べる方達には、「こんなにおいしくなってくれて、私たちの口に入ってくれて、ありがとう」と思ってもらいたいのです。豚の生命をいただくということを、単なる人間のエゴとして捉えるだけではなく、人間が生きていくために命を与えてくれた尊い生き物として感謝したいのです。
だからこそ、朝起きるたびに、「今日も頑張ろう!」と元気に思えるのです。
藏尾ポークがこんなにも「美味しい!」と喜んでいただいているその理由は、私達の努力だけではありません。その前に、豚たちの努力があるからだ、と私は信じています。
私達が養豚をずっと営んできて体感している事は、「豚がすべてを教えてくれる」ということ。「わからないことは豚に聞くのが一番」、ということなのです。生まれてくる豚たちが、いずれ自分達がお肉になる、ということを知っている、といえば言いすぎかもしれませんが、そうではないかと思ってしまうくらい、豚がどうしたいと思っているかを感じ、豚の気持ちを考えるようにしていると、全てがうまくいくことが多いのです。
時々、私達がしていることは単なるサポートで、生まれてきて、美味しいお肉に育っていっているのは全て豚の努力ではないかと思うことすらあります。これからも、豚たちに教えてもらって、もっともっと皆さまに喜ばれるよう、豚たちと共に努力し続けていきたいと思います。
私たちは生産者として、一人一人が管理者であるという責任感をもち、
毎日現場で豚たちと向き合っています。
皆様にお届けするお肉の安全と品質は、豚の健康にかかっています。
毎日体調や状態が変わるデリケートな豚たちが、
8ヶ月間を健康に過ごせるために、徹底した管理を行っています。
とても基本的なことですが、エサと水を常に適切な量に保っておくためには、毎日変化する豚の体調に細心の注意を払っていなければなりません。
エサ箱を毎日チェックし、しっかり食べているかどうかを見て回ります。豚の体の大きさ、日齢、月齢によって、エサを食べる量は豚によってそれぞれ違います。多すぎないか、少なすぎないか、慎重に様子をみながらエサの量を調整します。
また、すべての豚に水が行き届き、豚たちがゴクゴク飲んでいるかどうか、毎日チェックします。
豚にとって快適な環境が保たれているかどうか、部屋の温度や風通しをチェックします。豚舎の掃除を隅々まで、こまめに行います。
豚の健康状態が表れる糞の状態、下痢などの問題がないかのチェックをします。また毛ヅヤにも気を配り、皮膚などの問題がないかチェックし、何か問題があったときには素早く適切な処置を施します。
以上の項目を毎日、毎日クリアしていってこそ、健康で安全な豚が育っていくのです。
毎日そのように豚と向き合っていると、不思議なことに、目をみているだけで何となくどういうことを感じているか、何が必要なのかがわかってくるようになってきます。人間の言葉で話してくれるような感じとまではいかないかもしれませんが、それでも、目の輝きにくすみがないだろうか、体のどこかに痛みがないだろうかと見ていくと、豚の声が聞こえてくるのです。それが何より、問題をいち早く解決するコツなのです。
たった8ヶ月の命を私たちに捧げてくれる、藏尾ポークの豚たち。
私たちがもてる精一杯の愛を豚たちに注いでいます。
それが私たちの、お客様への、そしてこの豚たちへの、責任なのです。